治療開始は4~6ヶ月齢が最も効果的!リミットは18ヶ月齢まで。早ければ早い方が良い。
これまでの記事で、矯正が必要な頭の形のセルフチェック方法、原因と予防方法、自分たちが実施したストレッチ等を紹介してきました。
本記事では、治療を考えている方や治療を始めた場合に必要な情報を、ぼっちゃんの経過とともに説明したいと思います(以下項目3)。過去記事はリンク先より。
- 矯正が必要な頭の形にはどんなものがあるか
- 頭の形が悪くなる原因と予防のためにできること、矯正する前に自分たちがしたことおよび実際の経過
- 画像診断から矯正を始めるまでの流れ、始めるのに適切な時期、病院で教えてもらった頭の形の矯正以外のメリット、デメリット
- ヘルメットのデコレーションのやり方
Cranial Technologiesとは
1986年に設立されて以降、約17万5千人の赤ちゃんの斜頭症をDOC Bandで治療してきた経験のある会社で、アメリカに50か所以上あります。DOC Bandは臨床試験で安全性と有効性を証明されている唯一の医療機器です。DOC Bandは3D画像診断をもとにカスタマイズされ、トレーニングを受けた専門のスタッフが毎回調整を行います。
DOC Bandで治療をしている赤ちゃんの親が集まる公式のFacebookグループがあり、そこで悩み事や相談事・デコレーションの情報共有などがされています。とても支えになりました。
診断から治療までの流れ
アメリカではまず紹介状をもらってから行くというのが一般的ですが、Cranial Technologiesでは紹介状なしに無料の3D画像診断を行うことができ、治療が必要かどうかをその日のうちに教えてもらえます。
- クリニックに電話をし、無料の3D画像診断の予約をとる
私の場合は4ヶ月検診の際に医師からこのクリニックの紹介状をもらっていたので、クリニックの方から電話がかかってきました。 - 3D画像診断に行く(30分程度)
後頭部にストッキングのようなものを被り、写真を撮っていきます(嫌がらない。超キュート♡近未来感。)
撮影後、15分くらい待つと診断結果が出て、撮影した画像と測定結果等をもとに「治療が必要かどうか」「どのくらいの重症度なのか」「治療期間はどのくらいかかりそうか」などの話があります。この時点で治療するかどうかを決める必要はなく(まだ始められない)、家でじっくり考えることができます。診断結果はPDFで貰えます。
ぼっちゃんは中等度~重度の診断で、治療が必要でした。4ヶ月までの赤ちゃんで軽度の斜頭症の場合は自然に治ることもありますが、中等度から重度の斜頭症は自然に治ることはないとの研究報告があるそうです。 - 保険適用額の審査
ここが気になるところです。Cranial Technologiesが各患者の保険会社に連絡をとって、治療費がいくらカバーされるかを治療開始前に提示してくれます。私が加入している保険は90%カバーされるので残りの10%にあたる275ドル(約3万円)を払いました(1ヶ月前だったら100%カバーされた…泣)。全くカバーされない保険もあるようですが、最大でも2750ドル(約30万)です(2020年2月時点)。 - 小児科医から処方箋をもらう
DOC Bandは医療機器なので医師の処方箋が必要になります。治療費に納得し治療を受けることを決めたら、クリニック側が今度は主治医に処方箋をリクエストしてくれます。
※私たちの場合は1日で対応してくれましたが、放置されてしまうこともあるようです。これはアメリカあるあるですが、しばらく連絡がない場合は双方に電話して確認し、催促した方が良いです。なるべく早く始めたいので。 - 詳細な画像解析(30分程度)
今度は顔全部にストッキングを被り(すぐ慣れたが、ちょっと焦ってた)、Digital Surface Imaging®︎ (DSi®︎) systemでカスタムDOC Bandを作るためのさらに詳細な3D画像を撮ります。
- カスタムDOC Bandの作製
アリゾナ州で作られるそうです。約1週間で通っているクリニックに届きました。 - 最初のフィッティング(45分程度)
待ちに待った治療開始です。4ヶ月齢でドクターに見せてから1ヶ月弱、最初のクリニック予約から2週間半、5ヶ月齢少し前での開始です。順調な方だと思います。
ぼっちゃん用DOC Bandを装着し、当たっているところはないか、緩すぎたりきつすぎたりしないかを念入りチェックし、微調整します。15分間装着し、赤みやかぶれがないかを確認します。問題がなければ装着方法などの説明を受け、次回の予約をして帰ります。 - 調整のための通院(15分程度)
頭の成長速度に依存しますが、基本的に
・6ヶ月齢未満:毎週
・6~11ヶ月齢:2週間に1回
・それ以降:3週間に1回
のペースで調整していきます。毎回頭の大きさを測り、治療プロトコールに沿って中を削って調整します。 - 卒業
終了までにかかる目安は、重症度と成長速度、開始月齢に依存します。
平均的な開始月齢と治療期間は、
・4ヶ月齢未満:5~7週間
・4ヶ月齢:6~9週間
・5ヶ月齢:8~10週間
・6ヶ月齢:2.5~3.5ヶ月間
・7ヶ月齢以降:3.5~4ヶ月間
とされています。たいていの場合はこれで治療終了となりますが、もっと理想的な形にしたい場合や重症な場合は2つ目のDOC Bandが推奨されることがあります(全体の15%くらい)。
DOC Band装着
Doc Bandの装着はマジックテープで付け外しをするだけなのでとても簡単です。
最初2日間のチェック方法
最初の2日間は、3~4時間おきにDOC Bandを外し(寝ている時間は除く)、赤みがないかをチェックします。我が家は保育園(デイケア)に預けていますが、先生も経験があるので頼めばチェックしてくれます。赤みがあって1時間以内になくならない場合は、装着はせずにクリニックに連絡をし、再調整してもらう必要があります(土日の場合は装着せずに月曜まで待つ)。3日目からはお風呂とクリーニングの時間以外の23時間ずっと装着します。
クリーニング方法
1日に1回、内側を70%イソプロピルアルコールもしくはエタノールで拭きます。
においがひどい場合は、
- イソプロピルアルコールで拭くだけでなく柔らかいブラシを使う
- 70%から90%に濃度を上げる
- 1時間程度日光に当てる
- 1日に2回クリーニングする
などで解決する場合があります。装着前に頭をよく乾かすことも大事です。
私たちの場合は、直射日光に当てるのが最も効果的でした。
外側は基本的には必要ありませんが、必要な場合は水拭きで十分です。
※デコレーションをした場合はアルコールが付くとデザインがとれるので注意
治療のメリット
予想される以下の不都合を予防できます
- 顕著な顔の非対称性
- スポーツヘルメットなどがうまくフィットしない
- 髪の毛が短いときに頭が平らなのがわかる
- 眼鏡がうまくフィットしない
- あごのズレによる不正咬合やしゃくれあご
- 睡眠時無呼吸
個人的に思うメリット
- 見た目がかわいい
- かわいくデコレーションするとコミュニケーションのきっかけになる
- 発達の助けになる?(装着し始めてすぐ寝返りができるようになった。リハビリのお姉さんの予告通り。)
- 遊んでいるときや寝ているときに頭をぶつけても気にならない
- 動きが活発になると、頭の保護としても活躍する
デメリットと対策
- 蒸れる
頭頂部は覆われていませんが、蒸れます。今は冬なので良いですが、夏は要注意です。暑くなりすぎないよう、エアコン・靴下なし・薄着等で対応します。 - 授乳や抱っこのときにヘルメットが腕に食い込む
長袖や授乳枕で対応するか、上手にずらします。
ぼっちゃんの様子
本人は全く不都合を感じていないようです。むしろ寝ているときは平らな部分がなくなったので、自由に左右向くことができ快適なようです。外すときにマジックテープの音に驚くことがありますが、ビリビリビリって先に言いながら外すと大丈夫です。付け外しも簡単であっという間に終わるので、本人も気が付いているのかよくわかりません。
今は6ヶ月齢になり頭の成長がゆっくりになってきたため、通院が2週間に1回になりました。クリニックまでは車で片道25分かかるので、だいぶ楽になりました。調整をしてくれているお姉さんによると経過は順調で、予定通り8〜10週間で終わりそうだとのことです。2週間後に詳細な画像解析をするらしいので、また情報を更新します。
【追記】予定通り10週間で終わりました。結果には非常に満足しています。1つ目のバンドは小さくなったのでもう使用できませんが、完璧にはならなかったので2つ目のバンドをすすめられました。別にそこまで完璧を目指しているわけでもないのでやめようと思っていたのですが、一人座り中やこれから歩き始めたときに頭を打つのが心配なので、「普通のヘルメットにプラスで頭の形を矯正できる高めのヘルメット」として使用することに決めました。
アメリカでヘルメット治療を考えている方に参考になるかと思います。Cranial Technologiesは有名な会社ですが、日本語の記事は見つけられなかったので。
もし実際にやるなら白のままでもかわいいですが、デコレーションも楽しみたいですよね。動画を見たりFacebookのグループ内で検索したりしてやり方を勉強しました。こちらの記事にまとめています。
過去記事はこちらから↓↓↓