本日無事に退職インタビューを済ませてきました。ボスから衝撃の告白がありました。ある程度予想はしていたことでしたが、思っていた以上だったので驚いてしまいました。本当にそういう人がいるのか…生きづらいだろうなぁと…だからと言って人に強く当たって良い理由にはなりませんが、穏便に最後の挨拶を済ませてきました。
ボスの性格と対処法
ボスは基本的には良い人なのですが、いきなり理不尽に怒鳴ったりします。良い時と悪い時は半々くらいなので、話す時はいつも「今はどっちモードだ?」と身構えます。話したらキリがないのですが、怒るとかなりの迫力です。ボスが騒いでいる時にこちらが何か言おうとするとさらにヒートアップしてしまうので、一番良い解決方法は『まずは黙ってその場からいなくなる』です。そうするとボスは自分がやらかしてしまったことに気がつき、すぐに謝りに来ます。その後は何事もなかったかのように良い人モードになります。こっちは追いつけていないのでかなり混乱します。
子どもっぽいし感情のコントロールができないんだな、と思っていました。
ボスにお願いされてコメントしたら衝撃の事実が…
実は私、このラボで初めて穏便に退職したようです。今までの人は何も言わずにいなくなってしまったり、喧嘩になって去るというパターンでした。以前いたラボメンバーとは何人か連絡をとっていますし、いろいろと話は聞いていたので別に驚きませんでしたが。
ボスは最初にも言いましたが、基本的には良い人です。最終日の今日も終始良い人モードでした。退職インタビューの前にメールで「今後のラボと自分のために、あなたが直面した出来事や気がついたこと、改善点やアドバイスがあったら素直に教えて欲しい」と言われていました。その時はボスの気分を害しても嫌だし、皆同じようなことを不満に思って辞めていくのでボスもわかっているだろう、と思って何も言うつもりはありませんでした。ですが、インタビュー時にも「頼むから教えてくれ」と言われてしまったので
「じゃあひとつだけ。残ったラボメンバー(1人になってしまう)にもう怒鳴ったり怒ったりせず、もっと大切にするべきだと思う」とだけ告げました。
すると衝撃のひとこと…「ちょっと待って。私が君たちに怒鳴ったことなんてあった???」
え、マジか…
ボスの苦悩
本気で自分が怒鳴ったり怒ったりしたことを覚えていないんです。結構な頻度ですし、決して私たちが大袈裟だということはありません。いつも誰かが怒鳴られたりした時はラボメンバー同士でケアしてます…信じがたいのですが、本人は大真面目です。やっぱりか…と落胆しています。
「具体的にいつどんな状況で?」と詳しく説明を求められました。そうすると、出来事はなんとなく覚えているが本人は全て怒鳴ったつもりはなくただ質問しただけだと言うんです。
ボスはこれまでも、
- 自分は怒っているつもりは全くなくても声を荒げてしまい、相手を不快な気分にさせてしまう
- 相手を怒らせてしまったことは理解できるが、なぜ怒っているのか理解できない
- 事が起こったあとはすぐに心から謝罪する(が時すでに遅し)
ということを繰り返してきているようです。
自分でもそれを改善したくて、カウンセラーと心理学者に毎週300ドル(3万円以上)!も払っているんだそうです。
おそらく何かしらの問題はあるのだろうなとは思っていたのですが、そこまで深刻だとは思っていませんでした。値段もすごい…!!
今まで人との信頼関係を築くの大変だっただろうな、特にボスになって指導者の立場になってからはすごく悩んでたしもどかしい思いをいっぱいしてきたんだろうなと思いました。怒鳴られてきた側からすれば鬱になってしまった人もいるし、ラボで良い思いをしてこなかった人も多いので同情するのは難しいのかもしれませんが、ボスも苦労してるんだなぁって…
私も今までの行動がそれで全て理解できたので、ちょっと気持ちは楽になりました。もう過ぎたことですし。
ボスが自分で気がついたきっかけ。トラウマ?
初めて違和感に気がついたのは、ボスになってすぐのことだったそうです(いやいや親や奥さんからの指摘はなかったのか…?ってツッコミたかったですが)。このエピソードはボスも面白おかしく話してましたし私もちょっと笑ってしまいました。
ボスは国際学会で横浜に来ていた時、同じ大学のとあるボスと一緒にいろんな場所を回り、たくさんお喋りして楽しい時を過ごしたそうです。その人もアルコール中毒のためいろいろと苦労することが多かったようですが、ボスとはうまくやっていたようです。
しばらく後に所属部署のパーティーにボスが奥さんと子ども達を連れてきた時、その人と久々に会って話していたそうです。(ボスは家族大好きなので、絶対その時は良い人モードです。)パーティの最後にその人が「今までいろいろ話したけど、今日初めてあなたを人間なんだなって思ったよ」って言われたそうです…それがボスにとってなかなかの衝撃だったようで…かなりショックでずっとこれを引きずっているようです。
「気がつけるきっかけを与えてくれたので感謝してるんだけどね、自分は人間じゃなかったんだ!」ってボスも笑ってました。確かに話す時にちょいちょい「I am human」って言うのはそういうことか…笑
いったい昔はどんなんだったんだろうと少し恐ろしくなりました。今はカウンセリングなどの影響もあって、これでも改善してきているらしいです。
ボスも驚きショックを受けていたが感謝された
この時点でボスはかなりショックを受けているのがわかり不憫に思えてきたのですが、今後のためにもっと教えてほしい、こういう会話ができたのは初めてなんだ…とあまりにも懇願されたので、あとひとつだけ伝えました。
「What’s going on?」と聞く回数を減らしてほしいと皆思ってるよと。毎日、ひどい時には会うたびに1日に何回も聞かれるのでストレスになると。そんなすぐに実験結果出ないですし、ボスに全部実験を把握されてもコントロールされているようで良い気はしません。ただでさえ週1で進捗報告があるのでそれで十分です。
ボスしばらくフリーズしました…ボスはそんな頻繁に聞いているつもりはなかったし、結果を聞くのが楽しみで興奮してどうしても聞いてしまう。自分のボスが完全放任主義で気にかけてもらった時は嬉しかった経験から、相手も喜ぶだろうと思って聞いていたそうです。喜ぶと思ってやっていたことがラボメンバーを追い詰めていたなんて…ボスはびっくりしすぎてメモを取り始めました。
私が言ったことが全てではありませんし、どう捉えるかはボス次第ですが、少なくとも多くのメンバーが同じことを不満を訴えていました。今のラボメンバーと新しく来るであろう人とボスが嫌な思いをせず、良い関係を構築できると良いなという思いで伝えました。本当は感謝の言葉だけ述べて終わらせようと思ってたのですが、懇願されましたしボスの苦悩も理解できますし…
いろいろひっくるめて感謝されました。私の成功を祈っているのも本心だとは思います(残念ながら行動はなかなか伴わないのですが)。
相変わらず…
今日のインタビュー中も相変わらず、前のラボメンバーや他の教授、私が行く先の教授などあらゆる人の悪口を言っていましたが、基本的に私は自分で判断するので悪口はスルーです。ボスはアドバイスのつもりで言っているようですが、被害妄想も多いので過去にあったその人との出来事も本当かどうかわかりません。
ボスの性格がとても良いとは思えませんが、これからも頑張ってほしいし、良い人モードが長く続くことを祈っています。もう一度残りのラボメンバーを大切にするように言い残してインタビューを終えました。
収穫
ボスにされたことだけ言うとただのパワハラ・アカハラなんですけどね。実際よく訴えられるのですが…自分が怒鳴っていることに全く気がついていない人がいるということは私にとってはすごく衝撃で、勉強になりました。もしかしたらそんなん普通だよって思っている人もいるかもしれませんが、私たちにとっては今までに会ったことのないタイプの人でした。
論文のこともありますし、これからも連絡はとります。その時にまた嫌な思いをすることになるかもしれませんが、「ボスはこれでも全く怒っているつもりはないんだ(驚くべきことに)」と認識してスルーできるよう心構えをしておきます。