出産前から夫婦での安全な睡眠に関する情報共有がとても大事です。私はそれができていなくて最初の頃反省しました。
2016年にAmerican Academy of Pediatrics: AAP(米国小児科学会)がアップデートした安全な睡眠に関する情報をまとめました。英語の文書で、参考文献を除くとA4用紙8枚分のボリュームです。詳細はこちらで勉強してください。
赤ちゃんがいる人なら誰でも不安になるSIDS(乳幼児突然死症候群)。小さい頃は特に、静かに寝ているとふと不安になる瞬間ありますよね。産後すぐのからだが辛いとき、数時間おきの授乳で、さらになかなか寝てくれないとなると親の限界が近づいてきます。そういうときについついやってしまいがちなよくある行動がSIDSのリスクを高める原因となります。
私はネットを見たりママ友とやりとりをしたりして多少の知識はありましたが、はっきりとこれはダメといえるほどの知識はありませんでした。夫に夜中の対応を任せていたある日、私が起きたらぼっちゃんがカーシートの中で寝ていました。私はそのとき本当に怖くなりました…
「この揺れがちょうどいいみたいで、これなら寝たんだもん。ちゃんと見てるもん。」…って気持ちはわかりますが、赤ちゃんが死んでしまっては元も子もありません。ただでさえ疲れているのにずっと寝ないで見ているなんて不可能です。夫婦で安全な睡眠に関する勉強をしていなかったことを猛省しました。
皆さんは赤ちゃんを危険な目に遭わせないよう、赤ちゃんが産まれる前から勉強してください。また赤ちゃんがいる方は、今からでも遅くないので自分たちが安全な睡眠環境を作れているかどうか確認してください。
また祖父母に面倒を見てもらっている人も注意が必要です。昔の常識は今の非常識ってこともあります。自分たちで勉強し、もし祖父母が危険なことをしているのを発見したとき、しっかりと根拠をもって説得できるように準備しておきましょう。
本題に入ります。
アメリカでは年間3500人の赤ちゃんがSIDSなどを含む睡眠に関連した理由で亡くなっています。American Academy of Pediatricsは、睡眠に関連した乳児の死亡リスクを減少させるために、以下に挙げる安全な睡眠環境を推奨しています。
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- 推奨レベル:強(必須事項)
- 1. 仰向けで寝かせる
- 2. 硬いところで寝かせる
- 3. 母乳を与える
- 4. 親と同じ部屋で、赤ちゃん用のベッドで独立して寝る
- 5. 柔らかいものやフィットしない寝具をベッドに入れない
- 6. 睡眠中はおしゃぶりを使う
- 7. 妊娠中と出産後のタバコの曝露を防ぐ
- 8. 妊娠中と出産後のアルコールおよび違法薬物の使用を避ける
- 9. 暑くなりすぎないようにする
- 10. 妊娠中は適切な妊婦健診を受ける
- 11. 乳児はAAP(米国小児科学会)およびCDC(アメリカ疾病予防管理センター)の推奨に基づいて適切なワクチン接種を受ける
- 12. 家庭用の心肺・呼吸モニターをSIDSリスク軽減のための対策として使用しない
- 13. 新生児に関わる医療従事者や保育施設の者は、SIDSリスク減少のために推奨されることを実践し、規範となること
- 14. メディアや製造者は安全な睡眠のためのガイドラインに従い発信および宣伝すべきである
- 15. “安全に寝る”ための活動を継続し、睡眠に関連した乳幼児の死亡リスクを減少させることに注力すべきである。小児科医およびその他の関係者はそれに積極的に参加すべきである
- 推奨レベル:中
- 安全に使用できるベビーベッドの例
推奨レベル:強(必須事項)
患者由来のしっかりとした根拠に基づいて推奨されるもの
1. 仰向けで寝かせる
1歳になるまでは仰向けで寝かせるべきである。横向きも安全ではない。
寝返りを始め、仰向けからうつ伏せ、うつ伏せから仰向けがスムーズにできるようになった場合は、無理に仰向けに戻す必要はない。ただし柔らかい布団は避け、寝るスペースに何も物を置かないようにするべきである。
2. 硬いところで寝かせる
窒息やSIDSを予防するために、必ず硬いマットレスと安全性が証明されたクリブ(ベビーベッド)を使用するべきである。
片側が開閉するタイプのクリブ(ベビーベッド)は推奨されない。使用しているクリブがリコールされていないか確認するべきである。壊れていたりパーツが欠けているクリブは絶対に使用せず、直そうとしないこと。
チャイルドシート(カーシート)・ベビーカー(ストローラー)・スリング・抱っこ紐で普段寝ることは推奨されない。これらを使用する際は、頭が上を向いていて、顔が見え、鼻と口が覆われていないことを確認する。またこれらを使用中に寝た場合は、速やかにクリブ(ベビーベッド)に移動させる。
3. 母乳を与える
母乳を与えることはSIDSのリスクを減少させることがわかっている。全く与えないよりは少しでも母乳を与えた方が良い。
4. 親と同じ部屋で、赤ちゃん用のベッドで独立して寝る
親と同じ部屋で寝て、ベッドは親と共有せず赤ちゃん専用のクリブ(ベビーベッド)で寝た場合、SIDSのリスクを50%も減少させることがわかっている。1歳まで、特に最初の6ヶ月は同じ部屋で寝ることが推奨される。
添い寝用ベッド(ベッドインベッド)は安全性が証明されておらず、窒息の危険性がある。ベッドサイドクリブも推奨はできない。授乳後やあやした後に親が寝る際は、必ずクリブ(ベビーベッド)に戻す。
ソファや肘掛け椅子で寝かせることは高リスクである。
5. 柔らかいものやフィットしない寝具をベッドに入れない
SIDSで亡くなった赤ちゃんの多くは顔が何かで覆われた状態で見つかっている。枕・掛け布団・ブランケット・ぬいぐるみなど窒息の危険性があるものはクリブ(ベビーベッド)に入れないこと(クリブの中には何も入れない)。帽子も外れると窒息の可能性があるので、寝ている間はしない。シーツはマットレスにフィットするものを使用する。
カーテンやコードなどにも気をつける。
ベッドガードはもともと怪我や頭が挟まるのを防止するために製造されたが、むしろ窒息や挟まることによる死亡リスクの上昇に関与していると考えられており、乳幼児への使用は推奨されない。(詳しくはこちらの記事で)
とにかくクリブ(ベビーベッド)になにも手を加えてはいけない!!
6. 睡眠中はおしゃぶりを使う
メカニズムは不明だが、寝かせるときにおしゃぶりを使用することはSIDSのリスクを減少させることがわかっている。おしゃぶりは赤ちゃんを寝かせるときに使用し、その後口から落ちても再び口に入れる必要はない。おしゃぶりを拒否する場合は強制的にさせるべきではない。もう少し成長したらもう一度試してみる。ぬいぐるみが付いたおしゃぶりは使用しないこと。
7. 妊娠中と出産後のタバコの曝露を防ぐ
母親は妊娠中も出産後もタバコを吸うべきではない。また妊婦や赤ちゃんの近くでタバコを吸うべきではない。家族にも家と車の中での喫煙を禁止し、受動喫煙を防ぐこと。SIDSのリスクは、例えそこで吸っていなくとも喫煙者とベッドシェアすることで高まる。
8. 妊娠中と出産後のアルコールおよび違法薬物の使用を避ける
母親は妊娠前後および妊娠中のアルコールおよび違法薬物の摂取を避けるべきである。
9. 暑くなりすぎないようにする
定義が難しいが、大人が快適と感じる服の枚数よりも多くならないようにする。赤ちゃんが暑いと感じているサインは汗をかいている、胸を触ると熱いなどである。
夏の夜の温度対策を考えました(【赤ちゃん】夏の夜の温度対策はこれがベストだった!快適な室温や服装は? )。
10. 妊娠中は適切な妊婦健診を受ける
11. 乳児はAAP(米国小児科学会)およびCDC(アメリカ疾病予防管理センター)の推奨に基づいて適切なワクチン接種を受ける
12. 家庭用の心肺・呼吸モニターをSIDSリスク軽減のための対策として使用しない
特にSIDSのリスクを減少させると謳っている商品には警戒すべきである。クリブ(ベビーベッド)に傾斜をつけるようなマット・姿勢を固定させるような枕・添い寝用に大人のベッドと場所をわけるようなベッドなどがその例で、これらの使用は推奨されない。また安全基準を上回っている商品であれば使用しても構わないが、これらの商品はSIDSのリスクを減少させるという根拠はない。また赤ちゃんの呼吸や血液中の酸素濃度を測るSpO2をモニターすることは、SIDSのリスクの検出に有用であると証明されていない。
それぞれの商品に関する情報はCPSC(米国消費者製品安全委員会)のウェブサイトで紹介されており、リコールなどの情報もここで得ることができる。
13. 新生児に関わる医療従事者や保育施設の者は、SIDSリスク減少のために推奨されることを実践し、規範となること
14. メディアや製造者は安全な睡眠のためのガイドラインに従い発信および宣伝すべきである
15. “安全に寝る”ための活動を継続し、睡眠に関連した乳幼児の死亡リスクを減少させることに注力すべきである。小児科医およびその他の関係者はそれに積極的に参加すべきである
推奨レベル:中
根拠のはっきりしない、また患者由来の根拠が限定的であるが推奨するもの
安全な睡眠が推奨されていないような、根拠が曖昧な商品の使用を避ける
赤ちゃんが起きている時間に親の監視のもとタミータイムをする。それにより発達を促し、斜頭症の発症を軽減する
※ 勉強を続け、SIDSを含む睡眠に関連した乳児の死亡をなくすためにリスク因子となりうるものを除外すること。
おくるみの使用によりSIDSのリスクを下げるという根拠はない。
安全に使用できるベビーベッドの例
知人・友人からおさがりはたくさんいただきましたが、我が家は「お金で買える安全は買う」という方針なので、少し高くても良いものを見極めて購入しました。アメリカでは添い寝は絶対禁止です。まだまだ日本では添い寝やベッドインベッドなど安全ではない睡眠が推奨されている場合があるので悲しいのですが、ひとりでも多くの赤ちゃんが安全な環境で眠れることを祈っています。スペースの問題など難しいのは承知ですが、ベビーベッドの使用を強くおすすめします。
クリブ(ベビーベッド)
クリブ(ベビーベッド)は一番最初に思いつくと思いますが、必ず安全性が証明されていること、柵が降ろせるタイプではないことを確認します。ネジでマットレスを置く高さを調整できるものを選べば長く使用できます(寝返りを始めるようになったら転落の危険性があるのでマットレスの位置を低くします。立ち上がるようになったらさらに下げます。他にも身長やよじ登ろうとするかなどの行動によって基準がありますので、製品マニュアルを必ず確認してください)。ミニクリブで99x58x91cmほどの大きさですが、2歳くらいまで使用できます。
我が家で使用しているクリブはこちら↓↓↓
日本で買えるベビーベッドをネットで少し探してみたのですが、柵が降りるタイプが多く安全に使用できそうなものを見つけられませんでした…店頭にも安全に使用できるものがなければ、次に紹介するパッキンプレイを使用する方がが良いのかもしれません。
Pack'n Play(パッキンプレイ)
家に十分なスペースがない方や引っ越しの予定がある方、よく外出する方にはパッキンプレイもおすすめです。こちらも安全に使用できます。ぼっちゃんは保育園(デイケア)でこれを使用しています。もっと小さめのバシネットなどもあるのですが使用期間が短いです。パッキンプレイは小さく折りたたむことができますし、長期間使用が可能です。またベッドとして使用した後は、ボールプールにしたり、おもちゃや大きいベビーグッズを収納できます。
※パッキンプレイの上部に乳幼児用の小さいベッドが付属している商品もあるのですが、そちらは安全ではないので使用しないでください。リコールの対象にもなっています(https://recalls.gracobaby.com/)。
Pack'n Play / Play yardのリンク↓↓↓
以上です。
いくら注意をしていてもSIDSがなくなるわけではありませんが、親の努力でリスクを減少させることができます。時間をかけて注意深くまとめましたが、ご自身でも確認してみてください。
リンク先はこちら↓↓↓(上記リンクと同じ)
pediatrics.aappublications.org